複雑な仕組みでできている遠近両用のレンズですが、ちょっとしたコツを知れば使い方は簡単です。

購入店で的確な使い方を教わっていれば問題はないはずなんですが、すでに遠近両用メガネを使用している方の中にも使い方を理解せずに使用している方も販売店勤務時代には何人もお会いしてきたのが事実だったりします。

補足的なことも説明していきますが基本的な使い方自体は1分もあれば理解していただけます。

レンズの仕組みをおさらい

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遠近両用のレンズはレンズの上の方に遠くが見える度数が施されています。

そしてレンズの下の方に近くが見える度数が施されています。

その間は各々の度数に近づくように緩やかに度数に変化がつけられていて、中間帯と呼ばれる室内などで必要な距離で視力が得られるような仕組みになっています。

つまり、レンズの上部を通して見ると遠くが見え、レンズの下部を通して見ると近くが見えるということです。

逆な言い方をすると

レンズの上の方を通して見ても近い距離は見えません。

レンズの下の方を通して見ると、30cm以上は離れれば離れるほどぼやけて見えることになります。

1分でできる遠近両用の使い方|近くを見る

まずは一番肝心な手元の見え方からいきましょう。

新聞や雑誌、スマートフォンなどを用意してください。

新聞の場合は大きく広げるのではなく、4つ折りないし2つ折りで見てみてください。

遠近両用メガネで近くを見てみる

メガネを使用して手元を見てみてください。

見えましたでしょうか?

いまひとつ鮮明に見えない場合、そのまま同じところを見たまま、ゆっくりとあごを上げてみてください。

どうでしょうか。見えるようになったでしょうか。

近くを見るための基本的な使い方はこれだけです。

「同じところを見たままゆっくりあごを上げる」

以上です。ゆっくりをあごを上げながら見ることで見え方も少しずつ鮮明になっていくのがわかりましたでしょうか。

このように遠近両用メガネは任意の対象を見る際、同じところを見たままあごを上下させて見やすいところを探してあげる必要があります。

今まで無意識的に見ていた姿勢(首の角度)で見えるとは限りません。

自然と見える位置で見るようになる

慣れるまではわずらわしく感じるかもしれませんが、生理的な「視界を得る」ことに対しては自然とパッと見える姿勢で見るようになってきます。

それまでは必要に応じて意識的に見るようにしてあげましょう。

上記の方法で手元が見えない場合

いくつか原因が考えられます。

  • 度数が適切ではない(特に加入度数)
  • アイポイントと目の位置が適切でない(加工ミス・調整不足)
  • 目の旋回能力が低下している

度数とアイポイントに関しては測定者、販売者側の問題ですので「近くが見づらい」旨を伝えて対応してもらうことになります。

目の旋回能力に関しては近くが見づらくなるのと同じ老化現象の一つですので対処が難しい場合もあります。

累進帯長の短い遠近両用レンズでの作成を検討してみるのも一つの手です。

※余談ですが、販売店での遠近両用の度数測定時、近くを見るための度数測定で問題なく視力が得られているのにも関わらず、遠近両用のテストレンズですと、うまく近くが見ることができない方もいらっしゃいます。

その際の姿勢等を見ていると目の旋回能力が低下しているような印象を受ける方もいらっしゃいました。

この場合、眼科での診察をお願いしました。

加入度数、アイポイント、累進長帯に関しましては別記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

1分でできる遠近両用の使い方|遠くを見る

遠近両用メガネで遠くを見るのにはコツもなにもいりません。

そのまままっすぐ前を見て良好な視界が得られていればOKです。

遠くを見ながらあごを上げ下げしてみる

手元を見るときと同じように遠くを見ながらあごを上下してみて見え方を確認してみましょう。

あごを引いてみる

遠くを見たままあごを引いてみましょう。

それほど見え方は変わらないはずです。

もし明らかに見え方がよくなるようであれば、近くが見えないときにも説明しました「アイポイントと目の位置が適切でない」可能性が高いです。

本来のレンズの位置が目の位置に対して上になり過ぎています。

充分な遠用視力が得られていませんので車の運転などで使用するには危険です。

購入店で適切な処置をしてもらいましょう。

あごを上げてみる

遠くを見ながらあごを上げることでレンズのより下側越しに見ることになりますので見えづらくなるはずです。

これは正常な見え方です。

人間はより遠くを見る際、無意識的にあごが上がりますが、遠近両用メガネを使用している場合は見づらくなってしまいます。

階段の上り下り

遠近両用メガネの一つの欠点でもある足元の見え方も確認しておきましょう。

試す際にも手すりにつかまるなど充分に注意して行ってください。

足元の見え方について

足元までの距離は身長によっても変わりますが、おおよそ1m50cm前後の距離となります。

当然下を見ることになりますので遠近両用メガネを使用してみる場合、レンズの下部を通して見ることになります。

完全な手元の度数越しの場合、ピントは3、40cmにあってしまいますので、1m50cmのところはぼやけて見えたり距離感がつかみにくかったりします。

足元を見る場合は、いったんあごを引いてあげることで遠くの度数越しに見ることで距離感を失うことなく見ることができるようになります。

下りの階段に注意

下りの階段は特にあごを引くことで上体も前に向くことになりますので必ず手すりを利用するようにしましょう。

まとめ

  • 同じところをみたままあごを上げて見る

1分でできる内容ですが記事を読むのに数分はかかってしまうのはご愛嬌ということでご容赦くださいませ。

記事中で加入度数やアイポイントなどの用語が出てきましたが、使用者側でも遠近両用の知識は持ったうえで使うのが理想的です。