使いやすい遠近両用メガネを作る上で重要となる要素はたくさんあり、その一つでも欠けてしまうと当然使いやすいメガネにはなりません。

遠近両用メガネを作る際に測定する「アイポイント」もそのうちの一つで、購入者(使用者)がアイポイントがどういったものなのかを知っておくことは、使いづらい遠近両用メガネが出来上がってしまうことを防ぐことになります。

頭の片隅に残る程度で構いませんのでアイポイントについて知っておきましょう。

アイポイント(EP)とは

eye-point

Original photo by Ansel Edwards

アイポイントとは遠近両用を作る際に使用するフレームを掛けた際に目の位置がどこにくるかを測定したものです。

画像のように黒目の中心が来る位置を確認します。

このアイポイントを基準にしてレンズを加工しフレームに収めるために使用します。

アイポイントの測定方法

アイポイントの測定はシンプルな方法ですと、メガネの使用者にフレームを掛けてもらい、向かい合った状態で目の位置をサインペンなどで直接黒目の中心をフレームについているデモ用のレンズに書き込んでとります。

測定自体は簡単ですが、事前にフレームの調整、フィッティングをしておく必要があるのと、レンズを入れる際にフレームの上端、下端からアイポイントまでの距離に推奨される値がありますので、必要に応じてフレームを再調整してアイポイントも再測定する必要があります。

また、メーカーが用意しているシール状のシートをレンズに貼りつけてアイポイントの確認やフレームの調整を行います。

アイポイントの重要性

現在主流の遠近両用のレンズは累進設計という複雑な設計を用いてできています。

遠くを見るために必要な度数と、近くを見るのに必要な度数がレンズの上下に配置されていて、その間は徐々に各々の度数になるように度数に変化がつけられています。

言い換えると、累進設計の遠近両用のレンズは均一な度数が施されているわけではありませんので、使用者がメガネを使用した際に、レンズのどの部分を通して見ているかで得られる視力が変わることになります。

極端な例ですと、遠くが見やすいところで手元を見ようとしても近くにはピントが合いませんし、その逆も同様です。

車の運転も可能な遠くの視力から、読み書きができる近くの視力までを得ることができる遠近両用のレンズの仕組みを最大限に生かすためには、使用者が選んだフレームを掛けたときの目の位置を基準にしてレンズを加工してフレームに収めてあげる必要性があります。

アイポイントの測定はミリ単位の正確さが求められるといっても過言ではありません。

アイポイントの測定をしなかった場合

アイポイントの測定自体は販売店側が遠近両用を作成する際に行う必須の工程となりますが、購入者側でもアイポイントの測定がされたかどうか確認するくらいの予防が必要になります。

販売店勤務時代にもスタッフが測定を忘れてしまうケースは実際にありました。

その場合、お客様宅にお伺いして測定したり、大変申し訳ないのですがフレームの調整で設備が必要な場合など再度来店して頂いた上で測定をおこなっていました。

それくらいアイポイントの測定は重要ということです。

また必須の工程を忘れるということはアイポイントの測定を軽視しているとも取れなくはないですので、そのような販売店でないかどうか自衛の意味も含め購入者側でもチェックするのを推奨します。

遠近両用メガネの型崩れに注意

遠近両用のメガネが型崩れした場合、そのまま見え方にも大きな影響が出る場合があります。

メガネがずれ落ちるような場合、レンズが目に対して下に下がることになりますので手元の視力が得られなくなります。

メガネ全般にいえることですが、ぶつかってしまった時などはもちろん、メガネの掛け外しの際に余計な力が加わり型崩れの原因にもなります。

丁寧な掛け外しを心掛け、見え方に違和感を感じたり、メガネがゆがんでいたり、曲がっているなど型崩れしているのに気付きましたら早急に販売店などで調整をしてもらうようにしましょう。

型崩れの調整は費用が掛からずに対応してくれる販売店がほとんどです。

まとめ

  • フレームを掛けた際の黒目の位置をアイポイントという
  • 遠近両用をはじめとした累進レンズの使用の際はアイポイントがとても重要になる
  • 購入時、アイポイントの測定が丁寧に行われているか購入者側でもチェックを推奨
  • メガネの使用時に目とレンズのアイポイントの位置に相違があると見え方に影響する

遠近両用メガネの使用者からすると無意識的に快適に使用できるのが理想ではありますが、アイポイントの重要性を理解することで、より失敗しない遠近両用メガネの作成や使用に生かせることになります。