仕上がった遠近両用メガネが使いづらい、なかなか慣れることができない悩みは数多くあります。

快適な視力を視力を得られるかどうかは仕事や生活にも直結してきますのですぐにでも改善したいものです。

遠近両用メガネが合わないと感じてる方が訴える症状別に改善策を解説していきます。

解説するにあたって、アイポイント加入度数累進長帯などの専門用語が出てきます。

これらの遠近両用に関する用語は別記事で解説していますのでご存じでない方はご参照くださいませ。

使いづらい|まずは正しい使い方を知る

遠近両用メガネを使うにはちょっとしたコツのようなものがありますが、購入店できちんとした指導がないような場合などはうまく使うことができません。

まずは使い方のコツを知るのと同時に、正しい使い方をしても良好な見え方が得られない場合も含めた解説をしている別記事がありますので併せてご参照ください。

ボケる・見にくいなど見え方に関する対処方法

遠近両用の見え方の不具合に関する対処方法は先ほどの遠近両用メガネの使い方の記事でも紹介していますが、目の状態やケース別にくわしく解説していきます。

近視の方が遠くが見えない場合

遠近両用のメガネを掛けて遠くの景色を見てみてください。

あごを上げ過ぎないようにしてまっすぐ前を見ても良好な見え方がしない場合が当てはまります。

あごを引いてみると見やすくなる

遠くを見て何か目に入る対象をそのまま見たままあごをゆっくり引いていき明らかに見やすくなる場合、目の位置とアイポイントの位置に相違がある可能性が高いです。

メガネを掛けたときに想定より上に上がってしまっていることで起きます。

同じように、何か同じところを見たまま首(もしくはあご)を動かしてもよく見えない場合は遠くを見るための度数の選定そのものに問題がある可能性が高いです。

遠視の方が遠くが見えない場合

よくある誤解ですが、ここでいう遠視とは老眼のことではありませんのでご注意ください。

遠視の方も近視の方と同様に遠くの同じところを見ながらあご(もしくは首)を上下して見え方が変わるか、よくなるかどうか確認してみてください。

あごを引いてよく見えるようなら近視の項で解説したのと同様目の位置とアイポイントの位置に相違がある可能性が高いです。

どこで見てもぼやける場合

首を動かして見てもぼやける場合、遠視を矯正するための度数が過度に処方されている可能性が高いです。

経験上の話をすると遠視の処方は、使用していた度数+1段階程度にしないと、実際に仕上がったメガネでは目の調整力が影響してかボケやすくなってしまうケースが多いです。

加入度数(手元を見るのに加える度数)を考慮すると少しでも目に合わせて度数を入れたいところですが、違和感を感じない範囲で1段階ないし2段階の度数を与える程度にしないと使用感がついてきません。

近視・遠視|近くが見えづらい場合

近くが見えづらいケースは近視、遠視を併せて説明します。

遠近両用メガネの近くの見方に付いてはコツがありますので遠近両用メガネの使い方を参照して手元の見え方を確認してください。

雑誌などを用意し同じところを見たまま少しあごを上げて見ても見えやすくならない場合、

  • 目の位置に対してレンズのアイポイントが下過ぎる
  • 手元を見るための加入度数の選定に問題がある
  • 加入度数が過度に処方されていて適切な度数帯がレンズの中間帯に存在する
  • 目の旋回能力が低下していてうまく下方視ができない

遠くがぼやける問題と同じく度数の選定、メガネの加工・調整が原因となる場合が多く、購入店で対応してもらう必要があります。

目の旋回能力の低下は近くが見えなくなる老眼(老視)と同じ目の老化現象の一つです。

遠近両用レンズの累進帯長の短いタイプのレンズの使用での改善を相談してみましょう。

眼精疲労・肩こり・頭痛・疲れるなどの症状の対処方法

メガネを使用していると起こる体調不良にもメガネ自体に原因がある場合も多いです。

メガネ自体に問題がある場合は処方された度数が過度数気味である場合がほとんどです。

遠近両用に限らずたった1段階の度数が多く入っているだけでも目が疲れたり頭痛を覚えたりします。

度数の見直しを検討する必要があります。

これは見え方優先の度数選定で起きる場合が多いです。

見え方は視力表などで確認することができますが、強く感じるのか、距離感の狂いなどがあるのかは使用者側から申告がないと対応できない場合もあります。

検査時の不具合、違和感は遠慮なく声に出してしっかり対応してもらいましょう。

度数の問題以外にも遠近両用メガネに関しては体調不良の原因になるものがあります。

遠視の方の眼精疲労について

目の屈折異常でプラス(+)の符号を持つ度数を持った方を遠視といいますが、遠視の方は近視の度数を持った方と比べ同じ度合いの度数(例えば遠視の+1.50の度数と近視の-1.50の度数)であっても比較的視力は得られている場合があります。

本来は同じくらいの視力表検査での裸眼視力になるはずなんですが、近視の-1.50の方が0.2から0.3程度に対し、遠視の方の+1.50の方は0.7から0.8程度見えていたりします(あくまで目安の推定です)。

これは遠視の屈折異常の方は目の調整力が必要以上に働いてしまい、目の能力を酷使しているためといわれています。

遠視の方はある程度視力が得られている場合でも、可能な限り遠視の矯正を行うことで眼精疲労が緩和される場合があります。

ただし、見え方の不具合の方でも書きましたが、遠視の度数は使用してる度数+1段階程度ずつ度数を上げるようにしないと目の調整力との兼ね合いでかえって良好な視力が得られなくなる場合もありますので注意が必要です。

肩こり・疲れの症状について

遠近両用で手元を見る場合、無意識に近くを見る姿勢よりも若干あごを上げた姿勢でみることになります。

読書や事務作業など長時間になるような場合、身体的に負担になる場合もあります。

使用している遠近両用の度数自体に問題がない場合、より近用部の視野が広い仕組みの「中近両用メガネ」や小さ目のフレームで累進長帯の短いレンズを使用することでより自然な姿勢で近用作業をすることができます。

酔う・揺れる・気持ち悪いなど使用感の不具合の対処方法

遠近両用のレンズで酔うような感覚や揺れを感じるのはレンズの箇所ごとに違う度数が配置されていることで起こる症状です。

目をより動かすことでこのような使用感になってしまいます。

意識的に目ではなく首・体を動かして見る

目の動きだけで見ようとするとどうしても揺れを感じやすくなってしまいますので意識して首や体ごと視線を向けるようにしてみましょう。

目の使い方には個人差がありますので一概に言えませんが、ある程度の視界の揺れを軽減できます。

レンズの揺れが大きくなる最大の原因は加入度数の値

遠近両用の視界が揺れる最も大きな原因は加入度数に処方されている度数が大きくなればなるほどレンズの仕組み上、揺れや歪みを感じやすくなります。

以前メーカーの方に伺った話なのですが、加入度数が+1.50を超えるとレンズの仕組み上見え方のクセが出やすく、使用者も何らかの不具合を訴えることが多くなるとのことです。

加入度数に処方されている度数が適切かどうか、改めてみてもらう必要があります。

使用しているフレームのサイズが必要以上に大きくないか

レンズは外側に行くほど光学的に見え方の歪みが出やすくなります。

「歪みの少なさ」を売りにしているレンズでも程度の差はあれ同じです。

メガネ作成の大原則としていたずらに大きいフレームより小さ目のフレームの方が見え方、重さなどの仕上がりの面で有利になります。

レンズを小さ目に削ることで見え方のゆがみやすい部分をなくすことができます。

まとめ|遠近両用を作ったのは失敗だったのか

症状別に解説してきましたので長く読みづらい記事になってしまいましたが、慣れない遠近両用メガネが出来上がってしまうほとんどの原因は視力測定者や販売者の技術不足や経験不足によるところが大きいです。

不具合を申告しても改善するだけの技術がない場合もあるでしょう。

このサイトを作成し始めたときにもいろいろな形でリサーチをしてきましたが、まだまだ技術的にも知識的にも未熟な情報があふれています。

人間の目は年齢とともに衰え、ほぼすべての人がメガネのお世話になります。

「見る」ことはそのまま生活に直結してきますので、不都合のあるメガネを無理して使う方が一人でも少なくなることを願っています。

手前味噌の話にはなりますが、私が制作してきた遠近両用メガネは、初めての方であってもお渡し時からすぐに使用していく人も多かったです。

車を運転して帰る人など自宅に着いてからの使用を勧めてもです。

「遠近両用だから慣れるのにたいへん」ということはありません。

今はインターネットを活用することで、しっかりとした技術のある販売店や販売者に出会えることも不可能ではないでしょう。

多少手間でもご自身の生活環境の中で信頼できる購入店を探してみるようにしましょう。

遠近両用のメガネはご自身でもある程度の予備知識を持っていた方が失敗が少なくなります。

併せて遠近両用関連の記事を読んでいただけると幸いです。